イギリス 国民投票 - EU残留か離脱か 英国民投票始まる
イギリス 国民投票 - EU残留か離脱か 英国民投票始まる - EU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問うイギリスの国民投票は、日本時間の午後3時に投票が始まりました。世論調査では残留派、離脱派の支持がきっ抗し、接戦になることも予想されていて、イギリス国民の選択に世界の注目が集まっています。EUからの離脱の賛否を問うイギリスの国民投票は、23日午前7時(日本時間の午後3時)、全国各地で一斉に投票が始まりました。
ロンドン市内の投票所では雨のなか、出勤前のビジネスマンや住民が次々と訪れて足早に投票を済ませていて、31歳の男性は「イギリス国民にとって将来を決める大切な日だと思って投票しました」と話していました。
キャメロン首相も先ほど妻のサマンサさんを伴って、ロンドン中心部の投票所を訪れ、1票を投じました。
残留派と離脱派は国民投票に向けて、経済への影響や移民問題への対応などを争点に激しい論戦を繰り広げてきました。
大手の調査会社の一つ「YouGov」が20日から22日にかけて行った最新の調査では、「残留」が51%、「離脱」が49%で、残留が2ポイント上回りました。ただ、別の調査では逆に離脱が残留を1ポイント上回るなど、最後まできっ抗した状況が続き、接戦になることも予想されています。
仮にイギリスがEUから離脱することになれば、金融市場が混乱することが予想されるほか、EUの将来をも左右しかねず、イギリス国民の選択に世界の注目が集まっています。
投票は午後10時(日本時間の24日午前6時)に締め切られたあと、即日開票され、早ければ日本時間の24日昼ごろには大勢が判明する見通しです。
日本に住むイギリス人 代理投票で1票
イギリスでEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票が行われるなか、日本に住むイギリス人の中には代理投票という形で投票した人もいます。
東京都内の大学に勤務するイギリス人のクリストファー・ウォリスさん(27)は、ここ数日、イギリスのニュースサイトを通して、残留派と離脱派がきっ抗する世論調査の結果などを注視してきました。
そして、現地で投票が始まった23日、日本に滞在しているウォリスさんは在外投票という形で国民投票に参加しました。
在外投票は「郵送」か、代わりの人に投票を依頼する「代理投票」のいずれかで行われます。ウォリスさんはイギリスにいる母親に代理投票を依頼したということです。
ウォリスさんは「世論調査の結果もきっ抗しており、毎日ニュースを見て状況を確認している。自分としては、子どものころからEU各国に旅行に行き、イギリス人というよりヨーロピアンという意識が強いが、祖母は離脱派で家族のなかでも意見が分かれていて非常に難しい。どちらの結果が出ても、今後どうなるのか心配だ」と話していました。
スコッチウイスキーの流通に影響か
イギリスのEUからの離脱の賛否を問う国民投票の結果が、北部、スコットランドの世界に誇る名産品「スコッチウイスキー」の流通に影響するのではないかという声も出ています。
NHKの連続テレビ小説、「マッサン」で取り上げられ、日本でも人気のスコッチウイスキー。
ドラマの監修も務めた、「ウイスキー文化研究所」代表の土屋守さんは、今回の国民投票の結果が日本でのスコッチウイスキーの流通などに影響する可能性があるとしています。
スコットランドはおととし、イギリスからの独立を巡り住民投票を行いましたが、今回の国民投票でイギリスがEUから離脱を決めれば独立運動が再燃する可能性があります。
土屋さんはその結果、経済が混乱すれば生産が落ち込んで品薄となり、価格が上がる可能性があると考えています。
一方で経済の混乱により、ポンドが値下がりすれば、日本への輸入価格が下がることも考えられるということです。
土屋さんは「イギリスがEUから離脱すると、スコッチウイスキーの生産態勢に影響が出かねない。最近はスコッチウイスキーの人気が世界的に高まっているため、生産が減れば日本への輸出が減る恐れもあり、国民投票の結果には注目している」と話していました。
ヨーロッパの株式市場は値上がり
23日のヨーロッパの主な株式市場では、イギリスで投票が始まったEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票を巡る一部の世論調査で、残留派のリードが伝えられたことを受け、株価は値上がりしています。
23日のヨーロッパの主な株式市場では、イギリスで投票が始まった国民投票で、一部の世論調査で残留派のリードが伝えられたため、EU残留への期待感から買い注文が先行しています。この結果、ロンドンやフランクフルト、それにパリなど、主な市場の株価指数は上昇して取り引きが始まりました。
また、ロンドン外国為替市場では、イギリスの通貨ポンドとユーロが買われる展開となっています。
市場関係者は「株価と通貨は値上がりしているが、国民投票の結果を見極めたいという投資家も多い」と話しています。
イギリス国民投票は大接戦! EU離脱派・残留派が最後の訴え
英国の欧州連合(EU)離脱の是非をめぐる国民投票を翌日に控えた22日、残留派と離脱派は浮動票を獲得すべく、最後の追い込みをかけている。結果は大接戦が予想されている。
残留派を率いるキャメロン英首相は「23日の国民投票で離脱することになればもう後戻りできなくなり、家族の将来を危険にさらすことになる」と訴えた。
一方、離脱派のジョンソン前ロンドン市長はヘリコプターでロンドン周辺を飛び回り、「これが支配を取り戻す最後のチャンスだ」とし、23日は「独立記念日」になると支持を呼びかけた。
最新の各世論調査では、両陣営の支持率が拮抗(きっこう)している。投票前日に発表された4つの世論調査のうち3つが残留派が勢いを増していると伝えている。それでもなお、2つの調査は離脱派がリード、残り2つは残留派がリードしている。
大半の調査会社は、僅差で勝敗の予測が難しく、投票日の投票率と相当数いるとみられる浮動票に左右されるとみている。
デイリーメール紙とITVが公表したComResによる電話調査では、残留支持が48%と、離脱支持の42%を6ポイントリード。
6月14日にサン紙が公表したComResの調査では、残留派のリードはわずか1ポイントだった。
ComResのアンドリュー・ホーキンス会長は「予想通り、投票前最後の週に現状維持への支持が高まった」と語った。
これとはほぼ同時に、タイムズ紙が公表した調査会社ユーガブによる世論調査の結果は、残留支持が51%、離脱が49%だった。前回調査では離脱派が残留派をリードしていた。
ユーガブのディレクター、アンソニー・ウェルズ氏は「当社の最新調査結果は勝敗の予測がつかない接戦を示しているが、直近のトレンドを見ると、過去に行われた国民投票で投票が近づくにつれて現状維持への支持が高まったのと同様に、残留派が優位となっている」と指摘した。
また、TNSが22日公表した世論調査によると、離脱支持の残留支持に対するリードが2ポイントとなり、先週の7ポイントから縮小。
調査会社オピニウムが同日公表した世論調査でも、離脱を支持するとの回答が残留をわずかに1ポイント上回った。
ComResの調査結果を受け、ポンドが対米ドルで年初来高値に急伸した。
米投資銀行JPモルガンは22日、英国民投票をめぐる最近の各種世論調査を受け、残留支持が離脱支持を僅差で上回っているとの分析結果を明らかにした。
JPモルガンのエコノミスト、マルコム・バー氏は電子メールで「手元のデータに基づく当社の分析によると、今週発表された各種世論調査では残留派が離脱派を平均2%ポイントリード、未決定の票が約9%となっており、週間統計による当社のトレンド分析では残留派が0.6%ポイントリードしている」と指摘した。
また、主観的にみて、英国がEUを離脱する確率は約45%との見解を示した。
4650万人が投票資格を持つ今回の国民投票は23日0600GMT(日本時間午後3時)に開場し、同2100GMT(日本時間24日午前6時)に締め切られる。締め切り直後から開票が始まる。
382選挙区がそれぞれ投票用紙を集計し、無効票や郵送投票を含めた投票総数を発表する。日本時間24日午前7時半から同午前10時半に大半の選挙区が発表し、午後1時ごろに終了する見通し。
正式な投票結果が発表されるのは日本時間24日午後3時以降とみられる。